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予防接種ミス、年2,000件とは? 予防接種の接種計画の立てにくさも課題か

 予防接種のミスが年2000件以上あるというニュースがありました。どの程度大変な話なのでしょうか。

 

年2000件、半数が時期のミス

 市区町村の予防接種で、接種回数やワクチンの種類を誤るなどの間違いが全国で年2000件以上あることが、厚生労働省研究班(研究代表者=多屋馨子けいこ国立感染症研究所室長)の調査で分かった。

 結果は、計2194件の間違いが医療機関から自治体に報告されていた。接種の遅れなど時期のミスが半数だったが、別のワクチンを注射した間違いが301件、倍の薬液を注射したなど量のミスが229件あった。健康被害は確認されていないが、リスクはあった。

予防接種ミス、年2千件超…注射器再使用14件 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

 時期のミスが半数といっても、それは健康に問題がないミスなのかなど、いまひとつわかりません。もう少し調べてみました。

 

 もとの調査結果は見当たらなかったのですが*1、調べたところ、厚生労働省の第9回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会のページに関係する資料が載っていました。

 一方で小児における定期の予防接種は、とくに乳幼児期に接種が集中しており、また、ワクチンの種類によって接種間隔や接種回数が異なっていることなどから、ときに予防接種に関する間違い(誤接種)が生じる可能性があります。
 本リーフレットは、実際にあった間違い事例をもとに、それらの間違いを防ぐため、予防接種を行う際に確認すること、それぞれのワクチンの接種方法などについてまとめました。

資料3 予防接種における間違いを防ぐために

 このリーフレットでは、実際にあった間違い事例として、ワクチンの種類、接種回数、接種間隔、接種量、接種方法、接種器具及び保管方法の7種類の間違いが紹介されています。多い・・・

 ただともかく、時期のミスというのは、健康にかかる大きなミスではないようです。どうやら。

 

予防接種のミスの例は、ネット上でも・・・

 いくらかネット上で調べてみたところ、予防接種のミスは、小児科で起きやすいミスの一つのようです。

 

 先日クリニックで接種予定と違ったワクチンを接種してしまうという接種事故を起こしてしまった。

 事故の経緯を公開することにして、今後同じ事が起きないよう対策を立てたいと思う。

かたおか小児科クリニック - 診療日誌

 事故の経緯を記録し、反省点を洗い出しています。

 

 小児科の外来で最もミスが起こりやすいのは予防接種・ワクチン接種のときです。違うワクチンを打ってしまう。特にインフルエンザワクチンでは量を間違う、ワクチン同士の接種間隔を間違う、有効期限切れのワクチンを打ってしまう。といったミスが生じます。

医療安全のために とみもと小児科クリニック 八戸 小児科

 こちらの病院では、取り組んでいる事故防止策について、写真つきで解説しています。取組が見えると安心しますね。

 

 このほかにも、Yahoo!知恵袋などでも質問が立っていました。

 

子どもの予防接種はまるでパズル

 上記の事故の例などをみても、全体的に、接種時期・接種の間隔という話が多くみられます。

 この原因として考えられることが、子どもはたくさんの予防接種を受ける必要があり、決まった間隔をあけて打つ必要があるものが多いことではないでしょうか。

 実際、乳幼児をもつ親からは、子どもの予防接種の計画を立てるのが大変、という話をよく聞きます。

 

 冒頭に挙げた厚生労働省の部会の資料には、この予防接種の接種間隔や接種時期に関する改正について説明する資料も掲載されていました。

資料2 平成26年4月の予防接種制度の改正事項等について

 

 接種の間隔や時期が厳密に決まっていればいるほど、接種の計画を立てる難易度が上がってしまい、間違いも起こりやすくなるので、健康に問題がない範囲で緩和することについては賛成です。

 ただ、こうした制度がコロコロ変わると、追いつくのが大変ですし、先輩ママ・パパから教わった先例を参考にできなくなってしまうので、悩ましいところでもありますね。

 制度だけではなく、子どもはすぐに病気をもらってくるので、保育所に入るまで/入ってなるべくすぐに接種したい、といった事情もありますし・・・

 

 わかりやすいルールづくりと、医療現場におけるしっかりしたチェック体制の構築が望まれます。

*1:部会の資料の最終ページを見たところ、厚生労働科学研究 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業 『予防接種後副反応サーベイランスの効果的な運用とその行政的な活用のあり方に関する研究』という研究をもとに作成した資料であることがわかりましたが、Web上に当該研究の詳細な資料は見当たりませんでした。