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18年前に路上で保護された男性の身元が判明 身元不明のままにしないためには

 埼玉県狭山市で18年前に路上で保護されて以来、身元がわからないままだった男性の身元が判明したとのことです。

 18年・・・!

 

県が公表したところ、身元が判明

 18年前、埼玉県内の路上で倒れていたところを保護された、認知症とみられる男性。5日午後、その身元が判明した。

しかし5月27日、埼玉県が、ショウキチさんについて公表したところ、30件以上の問い合わせが寄せられ、東京・渋谷区で1996年ごろから行方不明になっている男性・野村正吉さんの可能性が高いことが、親族を名乗る人からの問い合わせでわかった。

18年前に埼玉・狭山市で保護された男性の身元判明 県が正式発表(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

 

 身元がわかったのは何よりです。

 ただ、記事を見ると、この方は、ご自分で名前をフルネームで名乗っていたのに、それでも18年間、身元がわからないままだったとのこと。

 なぜつながらなかったのでしょう。

 県が公表したら親族につながったのなら、なぜもっと早くそれができなかったのか。

 現在、認知症に関わる行方不明者は約1万人いるそうなので、同じような状況で身元不明となっている方もいるのではないでしょうか。

 ぜひ、今回の件を生かしてほしいです。

 

手がかりを生かし切れない場合も

 また、5月には次のような例もありました。

 2007年に群馬県館林市で保護された認知症の女性の身元が、今月11日に放送されたNHKの番組をきっかけにほぼ7年ぶりに身元が判明した。県警 は「迷い人」として全国の警察に手配した際に衣類に書かれた名前の記載を誤り、行方不明者を照会するシステムにも誤って登録していた。

 県警や館林市によると、女性は東京都の柳田三重子さん(67)。館林署が07年10月30日に保護した。県警は、外見の特徴など身元確認につながる手掛かりを「迷い人照会書」に記載する際、下着に片仮名で「ミエコ」と書かれていたのに「氏名不詳だが衣服には『エミコ』と記載あり」とし、照会システムにも同様の登録をしていた。

 別の衣類には片仮名で「ヤナギダ」とも記載されていたが、県警は昨年12月まで名字を把握していなかったという。

 館林市は、柳田さんが保護時に「クミコ」と名乗ったため「柳田久美子」として住民票を作成し、市内の介護施設に入所させた。

認知症女性、7年ぶりに身元判明 NHK放送後 :日本経済新聞

 それぞれ食い違っていますね・・・

 警察や役所側の手違いは、気をつければなくせるはずです。

 

家族側から探しにくい面も

認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長は「家族は公開にOKしているにもかかわらず、個人情報の壁が分厚く立ちはだかって、お顔だとか、本人の情報が公開されないために見つかりにくい。保護されても、家に戻らないと、残念な事態が増えてしまっている」

 冒頭のニュースの中で、このような問題が指摘されていました。

 名前というラベルが使えなくなった瞬間、自分の探している人について言葉で表して相手の知っている人と照合するということは非常に難しくなります。

 写真などがないとすると、せいぜい身長、体型、当時着ていた衣服ぐらいの情報しかなくなってしまいますから、特に時間がたてばたつほど、照合することは困難になりますね。

 

対策各地で

 中日新聞は、こうした状況に対する地域の取組を取り上げています。

 大牟田市の人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は31.6%と、10万人以上の市では全国2位。徘徊するお年寄りの死亡に衝撃を受けた住民たちが2004年に自主組織をつくり、警察や行政、学校を巻き込んだ官民の捜索訓練を始めた。07年からは市が主催し、市全域に拡大した。

 その結果、高齢者の保護件数は10年の112件から、12年は169件に増加。今年5月には、行方不明となっていた認知症の女性を市民が6日ぶりに発見した。

 「先駆的な取り組み」として周辺自治体も訓練を導入。現在は大牟田市を含む福岡、熊本両県の15市町が情報を共有して行方不明者の捜索に当たる。

つなごう医療 中日メディカルサイト | 認知症徘徊者 地域一丸で保護 「大牟田方式」全国へ拡大

 

 中野市は、約5年前に認知症で徘徊中の高齢者が死亡したのをきっかけに、昨年4月、地元タクシー会社などと連携した見守りサービス「あったか見守りネットなかの」を始めた。

 事前に、認知症の高齢者がいる家族が氏名や年齢、住所、体格、話し方などの特徴を市に登録する。行方不明になった際、市はこの情報をタクシー会社や福祉施設、個人などに提供し、早期の発見に役立てている。

 一方、御代田町は町民が参加して徘徊中の高齢者を発見する模擬訓練を昨年から行っている。「徘徊中の高齢者を見つけても、声を掛けるのをためらってしまう」との声を基に始まり、実際の場面に直面した場合でも対応できるよう町を挙げて取り組んでいる。

 訓練は昨年9月に実施。認知症の町民8人が自宅からいなくなったとの想定で「認知症の高齢者役」の町民が実際に町を徘徊した。町は、年 齢や服装、普段の行動範囲といった情報を、町民456人のほか、コンビニや商店、ガソリンスタンドなど計44事業所に伝え、参加者が協力し合って行方不明者を捜索した。

つなごう医療 中日メディカルサイト | 認知症で行方不明 自治体も対策に知恵絞る

 

 地域のつながりが希薄になっているなかで、それを、行政や企業も積極的に巻き込んで動かしていく、というイメージでしょうか。

 大牟田市では実際に行方不明の方を発見できたという実績があるというのも、期待がもてますね。

 

 保護する側がしっかりするだけでは行方不明になる方は減らないでしょうから、保護する側、地域で見守る側、両面からの取組が重要ですね。