なぜ交差点に大きな水たまりができるのか? コンクリートジャングル・東京の内水氾濫対策
梅雨に入り、交差点付近の歩道と車道の間あたりに水が溜まっている光景をよく見るようになりました。
なぜこの場所に水が溜まるのでしょう?改善できないのでしょうか?
交差点まで水がきてしまうと、行き場がない
車道の端には、グレーチングと呼ばれる格子状のものがあり、そこから水が地下に流れるようになっています。
交差点は他よりやや低くなっていて水がたまりやすい場所も多いので、グレーチングから水がはけてくれればよいのですが、たいてい、交差点付近にそれはありません。
Wikipediaさんによると、グレーチングは次のような性質があるそうです。
格子の間隔が広いグレーチングの場合、自転車(特にロードバイク)等の細いタイヤが通過する際、溝にはまり、転倒事故を引き起こすこともある。盲人が使用する杖がはまる場合も有る。
格子状のため、グレーチングの上部を通過する際は接地面積が少なくなりがちになるため雨天時など、水で濡れている場合は舗装路面よりも滑りやすくなる。濡れていなくても舗装路面より滑りやすい。
こうした性質を考えると、交差点付近に設置するのは、安全面を考えるとあまり適切ではありませんね。
交差点まで流れる前に地下に流せないのか
交差点付近で雨水を地下に流せないとしたら、雨水が交差点まで流れる前に、地下に流してしまうことはできないのでしょうか。
身近な道路を見てみれば、車道の端には、グレーチングがそれなりに設置され、雨水が地下に流れるようになっていますし、歩道でも、マンホールから雨水が地下に流れるようになっています。
それでも、交差点にまたげないような大きな水たまりができているとすれば、それは、道路をつくったときの想定をはるかに超えた量・時間の雨が降ってしまったということが考えられます。
実感している人も多いと思いますが、やはり気候の変化、子どものころは経験したことのないゲリラ豪雨などの影響を考えずにはいられません。
また、東京という街の特徴として、コンクリートやアスファルトで固められた地面が多く、雨水が地下に浸透できる場所が限られているということも原因でしょう。
マンション敷地の緑化部分や街路樹が植わっている地面など、雨水が浸透できる場所は、都心に行けば行くほど少なく、地下への自然な浸透に期待することは難しくなっています。
東京の下水道は今の人口に追いついていない
東京は上下水道の普及が早かった分、普及した当時想定した人口と現在の人口に差がみられます。また、普及が早かったので、設備も老朽化しています。
下水道には次の二つの種類があり、東京は8割が「合流式」と、合流式の割合が高くなっています。
合流式の場合、一つの管にすべて集めるので、雨がたくさん降ると、管を流れる量が急に増えます。しかし、管の容量も決まっているし、下水処理場で処理できる水の量も決まっているので、その容量を超えてしまったら、溢れてしまうということも考えられます。
内水氾濫への備えを
短期間の豪雨などで下水道の処理能力を超えてしまって溢れてしまう、それを内水氾濫といいます。
「氾濫」には2種類あります。まず、川の水が堤防を越えてあふれ出す「外水氾濫」。これが一般的に思い浮かべる洪水でしょう。もう1つは、市街地 に降った大雨がマンホールなどから地表にあふれる「内水氾濫」です。今回テーマにしている都市型水害は、主にこの内水氾濫のことです。外水氾濫と内水氾濫 は、もちろん同時に起こることもあります。
内水氾濫はどのようにして起こるのでしょうか。通常、市街地に降った雨水は、下水道などを通じて川や海に流れていきます。しかし、下水道などの処 理能力を超える量の大雨が降ったり、雨で河川が増水して雨水を排出できなくなると、マンホールなどから水が地表に溢れ出たりします。
深刻化する都市型水害の脅威 「内水氾濫」とは | THE PAGE(ザ・ページ)
こちらの独立行政法人防災科学技術研究所のサイトでは、より詳しいことが書かれています。
内水氾濫は外水氾濫(堤防の決壊など)ほど取り上げられませんが、死者が出ることもあるような災害です。
「都市型水害」によって死者が出ることもあります。1999年6月には、福岡・博多駅周辺の地下街や地下鉄などに大量の水が流れ込み、地下室に閉じ込め られた1人が死亡。同じ年の7月には東京・新宿区の住宅地の地下室が水没し、1人が死亡しました。その他、2000年9月の東海豪雨では、名古屋の地下鉄 が浸水のために最大2日間運転を停止しました。
東京都下水道局は、オリンピックまでに下水道の改善をしていくそうです。
これから外国人観光客が増えていくと思われますが、天候が悪くてもより快適に歩ける街になるといいですね。