たねログ

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氷水をかぶらないことも、賛同する人がかぶることも、自由だ

 難病ALS啓発のためのアイスバケツチャレンジ(Ice Bucket Challenge)が広まっ
ています。

 これは、バケツに入った氷水を頭からかけるか、アメリカALS協会(英語版)に寄付するか、その両方を選ぶかという筋萎縮性側索硬化症ALS)支援運動のひとつです。

 ソーシャルメディアを通してアメリカだけでなく他国にも広まっており、マーク・ザッカーバーグビル・ゲイツレディ・ガガなどが既に行ったほか、日本でも、孫正義さん、山中伸哉さん、浜崎あゆみさんなど、次々に広まっています。

 

氷水、かぶりたくない?

 こうした広がりがある一方で、日本で広まって少したつと、SNSで批判的な意見が出たほか、ハフィントンポストにおいても、批判的な意見が多いことを取り上げる記事がみられ、話題になりました。

 

これについて、ツイッターを見てみると、以下のような声が見られます。

「自主的にするのは構わないけど、指名されて強制するのは、どうかと思う。心臓麻痺とかリスクもあるし。いじめみたいで嫌。肝心の病気の内容があまり報道されてないし」(@rakue4さん)

「これ、一気飲みの強制とニアイコールですよね?」(@Suikyouzamuraiさん)

「ここまで話題になれば断るのも負担になるし、下手したら強制になっちゃうよ」(@2t0w1i0t0t1e2r1さん)

このように、本人が自主的にやることは認めつつ、誰かに強制されること、衆人環視の中で断れなくなってしまうことを危惧する声が複数見られました。

「一気飲み強制と近い」との声も 氷水かぶりチャレンジ、やりたくない人が82% | しらべぇ

 

 果たしてそうなのでしょうか?

 このキャンペーンのバトンが回ってきた場合、上記のとおり、選択肢は3つあるはずです。何も無理して氷水をかぶらなくても、寄付をすれば十分な支援になりますし、それはこのキャンペーンの趣旨に沿うものです。

 逆に、氷水をかぶらないと許容されないようであれば、それはもはや趣旨とちがうものでしかないのではないでしょうか。

 

 また、ハフィントンポストでは上記のような記事があった一方で、ハフィントンポスト日本版編集長の松浦茂樹さんは、TOKYO MX「モーニングCROSS」の番組内でアイスバケツチャレンジに挑戦され、それに関する記事において、同じく挑戦されたNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんのツイートを紹介し、賛同の意を示されていました。

 

 

どう伝えるか、取り上げるか

 私自身は、このキャンペーンを知ったことで、ALSについて改めて調べてみた
り、他の難病との違いがわからず、あわせて確認してみたり、周りの人と話をしてみ
たりすることがあり、このキャンペーンが、ALSに関する理解が以前より深まるきっかけになりました

 

 一方で、マスコミは、このキャンペーンの趣旨についてはあまり詳しく紹介せず、誰が挑戦し、誰にバトンを渡したかというところばかりを取り上げています

 著名人であっても、SNSなどにアップしている動画などを見ると、その趣旨の説明や賛同の意をきちんと表している方もいらっしゃるようですが、テレビのニュースの一コマ、ニュースサイトのトップニュースでは、端的に表すためにそうした部分が抜け落ちており、そうした取り上げ方が、「氷水をかぶるお祭りでしかないのか」といった印象をもたせる原因になっている気がしてなりません。

 
 また、チャレンジした方は、次に挑戦する人3人を指名し、指名された人は24時間以内に上記のいずれかを行うことになっているため、日本でも次々に広まっていますが、一方で、周囲では他人事という感じで、個人的には、まだ著名人の間で流行しているキャンペーンの域を出ていない印象があります。

 そうした他人事感も、「所詮有名人で流行しているお祭りだろう」という印象をもたせる原因ではないでしょうか。

 もし自分に回ってきたら、もう少し真面目に考えてみるような気がするのです。

(というわけで、回したい方がいればどうぞ回してください。笑。)

 

氷水をかぶらないという選択

 アイスバケツチャレンジで氷水をかぶることについて、比較的肯定的にとらえてきましたが、もちろんかぶらないという選択もありだと思います。

 それを世間に認識させたひとつが、この武井壮さんのツイートではないでしょうか。

 

 バトンを受け取った人が、バトンの意味をくみ取って、自分なりの判断をすればよいということなのだと思います。

 アイスバケツチャレンジが広がる中、日本では5日間で1年分の寄付が集まったというニュースもあったので、やはり認知度向上に貢献していることは確かではないかと思いますが、無理してやるものでもないし、賛同できない、他の方法がよいという方は自由意思で辞退していただいて他のことをしていただけばいいと思います。

 ただ、一方で、賛同する人が前向きにそれを広めていくということも、それ自体批判に当たらないものだと思いますので、賛同する人が支援を広めていくことも、何ら妨げられるべきことではないと思っています。