たねログ

みんなが世の中のことを考える種を発信するブログ

中学生転落死 「インフルエンザによる異常行動」 学校ではどう防ぐか

 今年1月に起きた中学生の転落事故について、事故原因は「インフルエンザによる異常行動」との結果を事故調査委員会がまとめたことがわかったとのことです。

 

原因は「インフルエンザによる異常行動」

 兵庫県三木市立緑が丘中学校で1月、1年の男子生徒=当時(12)=が校舎から転落死した問題で、弁護士や小児科医らによる事故調査委員会が7日まで に、「インフルエンザなどウイルス性疾患の脳症状による異常行動が原因と考えられる」との結果をまとめたことが分かった。

中学生転落死 「インフルエンザによる異常行動」 兵庫・三木 (神戸新聞NEXT) - Yahoo!ニュース

 

 インフルエンザによる異常行動について、厚生労働省のサイトのQ&Aでは、次のように解説しています。

 抗インフルエンザウイルス薬には、タミフルのほかにリレンザラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出す等の異常行動の発生が認められています。

 また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。

インフルエンザQ&A|厚生労働省

 

 実際、上記のページでは、厚生労働省「インフルエンザ罹患に伴う異常行動の研究」を行っているといったことも書かれており、資料のリンクも掲載されていますが、今のところ、特定の医薬品を服用したかどうかによって、異常行動が発生しやすくなるといったことは、判明していないようです。

 

学校ではどうしたらよいか

 先ほどの厚生労働省のQ&Aでは、対策として次のようなことが書かれており、実際、こういったことは、テレビなどでもよく注意喚起され、既に多くの人が知っていると思います。

 インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落する等どの事故を防止するため医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮してください。

 しかし、冒頭の兵庫県の事故では、生徒は学校にいました。

 市教委などによると、生徒は1月9日、体育の授業を終えた後に体調不良を訴えた。教諭が保健室へ行くよう促したが、4階の教室へ戻り、窓から転落した。転落前、生徒は同級生の問いかけに意味の分からない返答をするなど普段と異なる様子だったとされる。

 もちろん、まず体調がすぐれないときは登校しないのが一番ですが、タイミングが悪く、学校で発症してしまうこともあるでしょう。そういう場合を考えれば、やはり、学校における対策を考えねばなりません。

 

 「インフルエンザ 学校 異常行動」などとネット上で調べても、今のところ、対策らしきものは出てこなかったので、今回の事故を踏まえて私なりに考えてみました。

 

 やることはとにかく、体調が悪い生徒を一人にしないことです。

 対策すべきはインフルエンザだとしても、診断されていない場合が多く考えられるので、インフルエンザの生徒に限らず、発熱が疑われる生徒について広く対策したほうがよいでしょうし、何より、体調が悪い生徒を放っておくべきでないというのは、インフルエンザに限らず全般的にいえることです。

 

 具体的には、中高生であれば、付き添う生徒もある程度異常行動を制止することができるでしょうし、応援を呼ぶといった判断もできるでしょうから、教師は「保健室に連れて行くように」と他の生徒に付き添いを依頼するだけでもよいでしょう。

 小学生、特に中学年以下の場合、そういった面では不十分であることが考えられるので、教師自ら保健室に連れて行くなどの対応が必要かもしれません。副担任がいれば、副担任に依頼するなどの対応も考えられますね。

 さらに、最初に体調不良に気づくのは教師とは限りませんから、生徒の側にも、体調が悪い生徒には誰か付き添う必要がある、という認識をもたせることも必要でしょう。

 

 今回の事故調査結果を踏まえて、今後、対策が講じられると思いますが、どこでも起こりうることですから、全国の学校で取り組まれていくことが望まれます。

 

やはり「いじめ」が気になる

 最後に、今回の事故調査結果を受けての遺族のコメントが印象的だったので紹介します。

 遺族は「結果は一つの通過点でしかないが、いじめられていたのではと心配だったので、そうでなくてほっとした」と話した。

 

 関係のない事故でも、「いじめられていたのではないか」ということが、頭をよぎるものなのですね・・・

 昨今の学校現場における「いじめ」の存在感を改めて思い知ったような気がします。

 

 いずれにしても、保護者が心配せずに子どもたちが安全に、のびやかに過ごせる学校環境づくりが引き続き必要ですね。

 教師の皆さんにとっては、次から次へと課題が舞い込んで大変だと思いますが、ぜひうまくやっている例を全国で共有するなどして乗り越えてもらいたいと思います。